USB4 対応「SATECHI USB4 NVMe SSD Pro Enclosur」購入レビュー
正しく USB4 / Thunderbolt 4 の NVMe SSD ケースが国内でも買えるようになったので SATECHI USB4 NVMe SSD Pro Enclosur / ST-EU4NPM を買ってみました。
以前、存在しない規格である USB4.0 を名乗る、実態は Thunderbolt 3 / USB 3.x ハイブリッド NVMe ケースのレビューを書きましたが、今回はちゃんと USB4 規格のケースです。
Amazon で買える範囲で候補に上がったのは、SATECHI の ST-EU4NPM(メーカー公式)と ORICO の TCM2U4(メーカー公式)。
どちらも、コントローラーに ASMedia の ASM2464PD を採用しており、真に USB4 / Thunderbolt 4 対応 NVMe SSD ケースと言えそうです。
どちらも ASM2464PD を採用しているので価格の安い ORICO とかなり迷いましたが、見かけの好みで SATECHI を選択。
SATECHI は Apple 製品向けのアクセサリーを色々出していて「価格差以上に、SATECHI の方が見かけが好みだった」という点に尽きます。
開封
SATECHI USB4 NVMe SSD Pro Enclosur 自体は NVMe M.2 SSDを搭載することが出来る USB4 接続の SSD 外付けケース。
最大帯域幅 8GB/s の PCIe Gen 4×4 対応で搭載できる NVMe SSD の最大容量は16TBとなっています。
最大容量は16TBというのは心強く、将来的に大容量の NVMe SSD が当たり前になっても長く付き合えそうです(ORICO の TCM2U4 は最大4TBまで)。
パッケージにはマニュアル、本体、ポリカーボネート製の保護カバー、15cm の USB4 ケーブル、厚さ 3mm ほどのシリコンサーマルパッドが付属していました。
付属の USB4 ケーブルにはなんのロゴなどもプリントされておらず、USB4 / Thunderbolt 4 対応ではない USB-C ケーブルと見分けがつきません。
付属のケーブルの長さは 15cm とかなり短いです。こんな短い USB4 ケーブルは希少かもしれません。モバイル用途でこの短さは魅力ですが、デスクトップで使うには短すぎます。
SATECHI は USB4 ケーブルも出しているので、使い勝手のいい 25cm のケーブルが付属していたらありがたかった。とはいえ USB4 / Thunderbolt 4 ケーブルは高価なので贅沢は言えません。
Satechi USB4 to USB-C ケーブル (25cm) (MacBook Pro/Air/M1/M2など対応)
¥3,377(2024年1月現在)
筐体
本体はアルミニウム製で質感もよく、蓋を開けるギミックなどもしっかりした作り。NVMe SSD のセットアップは完全なツールレスで行えました。
アルミニウム筐体は内部でサーマルパッドを通じて上面で NVMe SSD、裏面は USB4 / Thunderbolt 4 コントローラーのヒートシンクを兼ねます。NVMe SSD ケースとしては大ぶりなのはファンレスで放熱するためのようですね。
透明なポリカーボネート製のカバーが付属していてケースの放熱を改善すると説明がありますが...逆に熱が籠りそうなんですがどうなんでしょうか。
With an included Polycarbonate casing allowing better overall heat disbursement
付属のポリカーボネートケースにより、全体的な熱放散が向上
実は購入して開封した時点で既にポリカーボネート製のカバーには小さな傷がいくつもあり、保護ケースとしてもあまり丈夫ではなさそうです。そもそもポリカーボネートで全体を包んでしまうと放熱を邪魔しそうな気がするのでこの透明カバーは外して使っています。
搭載チップ
USB4 / Thunderbolt 4 アクセサリーコントローラー「ASM2464PD」が基盤裏面に搭載されていることを確認しました。やっと正式に USB4 / Thunderbolt 4 に対応したストレージアクセサリが入手できるようになりましたね。
ASM2464PD 自体かなり発熱するようで、チップには極圧(というかサイコロ状)のサーマルパッドが貼ってあり、アルミニウム製エンクロージャーに熱を逃す設計です。
USB4 / Thunderbolt 4 ベンチマーク
まずは USB4 / Thunderbolt 4 接続の簡易ベンチマークを取ってみます。PCIe Gen 4×4 対応のケースなので高速な NVMe SSD でベンチマークを取るべきなのですが、あいにく PCIe Gen 4×4 に対応しているような高速な NVMe SSD が手持ちにありません。
以前レビューした Yottamaster の NVMe M.2 SSD ケースから Transcend TS2TMTE220S を移植してベンチマークを実施してみました。
TS2TMTE220S のカタログスペック最大リード 3,500MB/s、ライト 2,900MB/s には及びませんでした。とはいえ、Yottamaster の Thunderbolt 3 / USB 3.x ハイブリッド NVMe ケースよりもよい数字になっています。
TS2TMTE220 は PCIe Gen3 x4 なのが関係しているのかもしれません。
外部のレビューを探してみると Lexar SN77 1TB でリード 2,975.5MB/s、ライト 2,481.2MB/s、Samsung 980 Pro 500GB でリード 3,392.8MB/s、ライト 3268.8MB/s、WD SN850X 4TB でリード 3,424.8MB/s、ライト 3227.8MB/s、Crucial P3 Plus 500GB でリード 2721.2MB/s、ライト 1848.4MB/s と 各 SSD のカタログスペック上限値近くまで速度が出ているようです。
これらの SSD はどれも PCIe Gen4 x4 となっており、SATECHI USB4 NVMe SSD Pro Enclosur を活かすには PCI Gen4x4 の NVMe SSD が良さそうです。
WD SN850X 4TB のような PCIe Gen4 x4 で大容量・高速な SSD に換装したくなってきます。
また、別件で入手したスペック不明、詳細不明の ASint AS806(の速い方) を搭載してみたところリード 3,228.1MB/s を叩き出しました。
現行の外付け NVMe SSD ケースとしては最速と言っていいと思います。
温度
NVMe SSD にサーマルパッドを貼り付けて組み込んだ状態のアイドル時は 35℃(室温 21℃)。
$ smartctl -a /dev/disk8 | grep Temperature:
Temperature: 35 Celsius
ベンチマークで負荷がかかっている状態で 43℃程度でした。
$ smartctl -a /dev/disk8 | grep Temperature:
Temperature: 43 Celsius
組み込む NVMe SSD の種類によって温度は変わりますが、アイドル時と高負荷時の温度差が 8℃なので、ケースは効率的に排熱していると言えそうです。
詳細のチェック
USB4 / Thunderbolt 4 接続時に iMac(24 インチ, M1, 2021)からどう見えているかシステムレポートで確認してみます。
Thundebolt/USB4 装置ツリー、NVMExpress 装置ツリーでこのケースの詳細を確認できます。ちゃんと USB4 接続になっており 40Gb/s、リンク速度は 8.0GT/s。
接続モード名は USB4 表記で Thundebolt の記述は見当たりませんでした。Apple が USB4 と Thundebolt 4 の表記をどう使い分けているのか気になります。
評価
SATECHI USB4 NVMe SSD Pro Enclosur はやっと市場に出てきた待望の USB4 / Thunderbolt 4 にちゃんと対応した NVMe SSD ケースです。
価格も Thunderbolt 3 対応ケースと数千円しか変わらず、USB4.0 を名乗る製品(実態は Thunderbolt 3 / USB 3.x ハイブリッドな NVMe ケース)と比べても同じ価格帯か、安いくらいです。
変なケースを買うくらいなら、USB4 / Thunderbolt 4 にちゃんと対応したこのケースを検討する価値があると思います。
評価ポイント
- Thunderbolt 4 / USB4 に正式対応(ASMedia の ASM2464PD 採用)
- USB 3.x / USB 2.0 / Thunderbolt 3 との高い互換性と安定性
- PCIe Gen 4×4 に対応し、現行の外付け NVMe ケースでは最高速(NVMe SSD によるが 3,000MB/s 以上)
- 放熱効果も高く、見栄えもいいケースデザイン
- Satechi Japan によるメーカー保証18ヶ月
- Thunderbolt 3 ケースと比べても価格差大きくない
気になるポイント
- USB 3.x の NVMe ケースに比べると高価で筐体が大きい
- 付属のポリカーボネート保護ケースは傷つきやすく、放熱に寄与するか疑問
- まだ出てきたばかりの USB4 / Thunderbolt 4 製品のため接続先ホスト(PC)によっては互換性の問題はありそう
筐体は少々大きいですが、これは発熱する NVMe の特性と、まだ市場に出回り始めたばかりの USB4 / Thunderbolt 4 アクセサリーコントローラーの熱に対応するため。大きめと言っても持ち歩きなどで邪魔になるようなサイズでもありません。
繰り返しになりますが、待望の USB4 / Thunderbolt 4 にちゃんと対応した NVMe SSD ケースでいい買い物でした。
40Gbps の帯域を活かした高速な外付けストレージとしても、Type-C で繋げば最近の PC であればとりあえず(規格などを気にせず)使える便利な外付けストレージとしてもオススメできます。
購入時(2024年1月17日)ORICO の TCM2U4 には 3,000円 OFF クーポンが出ていて、実売 9,999円。SATECHI の ST-EU4NPM には 1,600円 OFF のクーポン(1月31日まで)が出ていて実売 14,459円でした。SATECHI のクーポンは発売記念のようです。